里子を迎え入れることが決まったら、日常生活の様々な手続きをしなければなりません。住民票の移動や保育所の利用、学校の転入学などの手続きをしっかり済ませて、気持ちよく里子との新生活をスタートさせましょう。
里親として里子を家庭に迎え入れるとなれば、当然一緒に暮らすことになります。そのためには、子供は里親の住所地に住民票を移動しなければなりません。この手続きについては、児童相談所職員の方に付き添ってもらい、お住まいの市区町村の窓口に行きましょう。
現在住んでいる市区町村から、他の市区町村に住民票を移動する場合には、転出届と転入届を準備する必要があります。また、現在住んでいる市区町村内で住民票を移動する場合は、転居届の準備が必要です。書類の続柄の欄には、『縁故者』または『同居人』と記入します。
※その他の必要な書類については、担当窓口に事前確認するようにしてください。
里親が働いている場合、子供のことを考えて、どの里親への委託を続けることが適切というふうに児童相談所が判断すると、保育所の利用が認められます。保育所の利用が認められても、どこの保育所も待機児童が多い現在、優先的に入所できるわけではありませんが、保育料に関しては免除されます。ただし、延長保育料は払わなければなりません。
里子が小学生以上の場合は、小・中学校の転入学手続きをしなければいけません。この手続きには、学校指定通知書と教科書給与証明書、在学証明書が必要です。学校指定通知書は、住民票の手続きをした際に役所で渡されますし、教科書給与証明書と在学証明書は里子受託の際に児童相談所で渡されます。これらの書類を里子が転入学する学校に提出しましょう。
他にも里子を受託した場合、郵便物の受け取りやパスポート取得、扶養控除などの際に手続きが必要になります。
里子宛ての郵便物が送られてきても、里親と一緒に住んでいる住所には届かないことがあります。これは、里子が里親の性を名乗っているケースも多く、実名での郵便物は受け取りができない可能性があるためです。その場合は、郵便局窓口に転居届を出しましょう。
パスポートを取得したい場合、里子が未成年であれば親権者または後見人の同意が必要です。ただし、里親が代理として里子のパスポートを申請する場合は、里親の署名で申請することができます。その際にはパスポート申請に必要な通常書類以外に、里親決定通知書や措置決定通知書などを用意しなければなりません。詳しくは、児童相談所に相談してみましょう。
里子は所得税法上の扶養親族とみなされるため、扶養控除の対象になります。年末調整または確定申告の時期になったら、児童相談所から児童委託証明書をもらいましょう。そのうえで、所得税控除のための手続きをとってください。手続きは里子の本名で行われ、続柄の欄には「里子」と記入します。
里子には、児童相談所から受診券が発行されるため、健康保険の範囲では病院で診察・治療を受けた場合でも、医療費がかかることはありません。また、診断の結果、手術などが必要となった場合は同意書を出さなければならないので、実親の同意が必要です。 さらに現在では、自治体によって里親であるという身分証明書を発行してくれるところもあります。身分証明書を持っていると、病院などで里親であることが理解されない場合に役立ちます。