視覚障害者は、特に文字や画像による情報を得ることが難しくなります。それを解消するために、点字や触図、パソコンなどによる音声読み上げなどの支援が行われます。また、文字を分かりやすくするため、様々な福祉用具も用いられます。
視覚障害者のための福祉用具には、様々なものがあります。ここでは、周囲とのコミュニケーションを取る際などに文字を分かりやすくするための福祉用具の中から、いくつかご紹介します。
矯正眼鏡をかけても文字が読めない場合に使うのが、弱視眼鏡です。掛け眼鏡式と焦点調節式の2種類があります。
掛け眼鏡式 |
フレーム部分に1枚の凸レンズが付いたものや、 レンズの真ん中に単眼鏡が付いたものがあります。 凸レンズタイプのほうが見える範囲が広く、 拡大率は約4倍です。 |
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焦点調節式 |
単眼鏡レンズをスライドさせ、対象物との 焦点距離を調節して使います。 最近は、自動焦点合わせ機能内蔵の 単眼鏡も登場しています。遠近両方に対応 しているため、学校の教室などでの使用 にも適しています。 |
光がまぶしくて見えにくいという場合に使うのが、遮光眼鏡です。見えにくさの一因となる波長の短い光をカットするため、黄色や赤系統のレンズが用いられています。また、遮光眼鏡には、コントラストを高める効果もあります。光過敏やコントラストの喪失、暗順応の低下などが起こる、網膜色素変性症や眼白子症、錐体ジストロフィー、緑内障などの人に効果的と言われています。
近くの文字やイラストなどを拡大して見る時に使うのが、拡大鏡です。主に、手持ち式や卓上式、クリップオン式などがあります。
手持ち式 |
手持ち式の拡大鏡は、辞書などの細かい文字 を見る時はもちろん、瓶などの曲面に貼られた ラベルを見たりするのにも適しています。 |
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卓上式 |
卓上式の拡大鏡には、スタンドが付いていて、 対象物の上に置くと焦点が合うようになって います。高齢者や子供にも使いやすいです。 |
クリップ オン式 |
クリップオン式の拡大鏡は、直接眼鏡に取り 付けて使います。 細かい作業時に便利で、両手が自由になるため、 作業の邪魔になりません。 |
本や新聞などの文字を拡大してモニターに映し出す装置が、視覚障害者用拡大読書器です。モニターの下にあるズームカメラで、文字を拡大します。拡大率は約40倍まであり、見やすい大きさに調整できます。
視覚障害者向けに、点字で書かれた書籍のことを点字図書と言います。点字は、指で触れることで認識できる文字で、視覚障害者にとっては情報を得るための欠かせないものになっています。全国各地にある点字図書館では、点字図書の貸し出しや情報提供、点字図書製作ボランティアの育成など、様々なことを行っています。
※そのほか、文字や図などを分かりやすくするための道具として、矯正眼鏡、コンタクトレンズ、音声パソコン、盲人用テープレコーダー、点字器、触図などがあります。
円滑なコミュニケーションを図るための視覚障害者への支援に大切なのは、福祉用具だけではありません。私たちの周囲には、様々な色が溢れていますが、その中で視覚に障害を持つ人には見分けにくい色があります。例えば、赤と緑はほぼ同じ色に見えたり、濃い赤は黒やこげ茶、茶色などに見えたりします。このような不便さを解消し、視覚障害者に文字などによる情報を分かりやすく伝えるためには、大きな文字を使う、コントラストや配色に配慮するといった工夫も必要になります。