聴覚障害者は、音による情報を得ることが難しいです。
周囲とのコミュニケーションがうまく取れないなどの問題を抱えていることも多く、そのため、手話や筆談、光、振動など様々な方法を用いて、日常生活に不便がないよう工夫がなされています。
聴覚障害者のための福祉用具には、様々なものがあります。
ここでは、周囲とのコミュニケーションを取る際などに、聞こえを良くしたり情報収集がスムーズにできるようにする福祉用具の中から、いくつかご紹介します。
低下している聴力を補うために使うのが、補聴器です。主に耳穴形、耳かけ形、ポケット形、メガネ形などの種類があります。現在では、耳穴形の補聴器が主流となっています。
また、補強器は使用者の聴力に合わせて、音を拡大・調整するなどしっかりフィッティングする必要があります。
耳穴形 |
耳穴に収まる小型のものや耳の外にはみ出す大型のものなど、数種類あります。 耳穴の形と聴力の程度に合わせたオーダーメイドの補聴器が一般的です。 |
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耳かけ形の補聴器 | 耳にかけて使うタイプの補聴器です。簡単な操作で使いやすい反面、汗が入りやすいというデメリットもあります。 最近では、汗に強い補聴器も登場しています。 |
ポケット形の補聴器 | 補聴器本体をポケットに入れ、イヤホンとコードをつないで使うタイプです。 操作は比較的簡単なものの、コードが邪魔だったり、服に擦れて雑音が入るなどのデメリットがあります。 |
メガネ形の補聴器 | メガネのツル(テンプル)部分に補聴器が内蔵されているタイプです。 レンズと補聴器の調整をきちんと行うことができれば、メガネと補聴器を併用できるので便利かもしれません。 |
補聴器を装着したままでも使えるのが、補聴器対応電話です。
補聴器をつけている人にとって、一般的な電話は相手の声が聞き取りにくいものですが、補強器対応電話の場合はこの問題が解消されます。
補聴器対応電話には、磁気誘導コイルというものが内蔵されています。
この磁気誘導コイルが、受話器から聞こえる音声を磁気信号に変えて補聴器に伝える仕組みになっています。
この電話を使うためには、磁気誘導コイル内蔵型の補聴器がなければいけません。
そのほか、音量調整機能が付いているものや、耳の後ろの骨に受話器を当てることで音を響かせる骨伝導式電話などもあります。
携帯電話やスマートフォンは福祉用具ではありませんが、耳の遠い高齢者や聴覚障害者にも使いやすいものが販売されています。
携帯電話やスマートフォンは普通、受話部分の小さな穴から声が聞こえてきます。
ですが、最近ではディスプレイ画面全体が振動して声が伝わるものが登場しています。
これなら、耳にあてる位置を気にしなくていいですし、相手の声がとても良く聞こえます。
ゆっくり話すと聞こえる人向けに、音声速度を調節できるラジオなどもあるので利用してみると良いでしょう。
さらに、聴覚障害者にとって周囲の人とのコミュニケーションの際に有効なのが、筆談です。
普通のメモとペンでも良いですが、よりスムーズに筆談するために、磁気パネルにマグネットペンで書いたり消したりできる筆談ボードを使用している人も多いようです。
このほか、地上デジタル放送開始後に発売されたテレビには、字幕表示機能が標準装備されているので、テレビの音声を文字で見ることができます。