屋内では快適に過ごすことができても、一歩外に出ると高齢者や障害者、ベビーカーを押すお母さんたちにとっては不便なところが沢山あります。ここでは、屋外におけるバリアフリー整備などに関して紹介します。
普段何気なく使っている道路も、よく見ると数多くのバリアがあることに気づきます。きちんと舗装されていなかったり、道路工事で埋め直された後の道路はデコボコしています。また、車庫前の歩道などは車の出入りがしやすいように傾斜がついていることも多く、高齢者や障害者は歩くのが大変です。さらに、道路上に設置されている視覚障害者のための点字ブロックの上に自転車が止められている光景も頻繁に見かけます。これでは、視覚障害者が自転車にぶつかってしまい、道をスムーズに歩くことができません。
また、歩道と車道の境目には段差が作られているのが一般的ですが、時に車道から歩道へ行きたい場合もあります。高齢者や車椅子使用者にとって、歩道と車道の境目にある段差が大きなバリアとなります。道路の一部だけでも、このような段差を小さくすると、安全に通行することができるでしょう。
視覚障害者にとって、横断歩道を渡るのはとても大変なことです。信号の色が見えないため、渡るタイミングを逃してしまう人もいるでしょう。盲導犬を連れていても、ユーザーの指示がなければ動いてはくれません。そんな時は、視覚障害者用の信号機があると便利です。音声誘導装置付き信号機は、横断歩道を渡る視覚障害者に信号が青であることを知らせるためのもので、常時音が出るものと視覚障害者がボタンを押した時のみ音が出るものの2種類があります。
音声誘導装置付き信号機の誘導音は、擬音式とメロディー式に分けられます。擬音式の場合は「カッコー」と「ピヨピヨ」、メロディー式の場合は「通りゃんせ」や「故郷の空」などのメロディーが使われています。ところが、メロディー式の信号機は、現在徐々に姿を消しつつあります。どの擬音やメロディーを採用するかは、各都道府県警察の裁量に任されているので、地域によって違いがあり、そのことで視覚障害者の混乱を招いていました。混乱を解消するため、2003年から全国で擬音式に統一化が進められています。
街中では、歩道や駅のホームなど様々なところに点字ブロックが見られます。正式には、視覚障害者誘導用ブロックと言います。この点字ブロックは、視覚障害者が安全に歩くために使うものです。大きく2種類に分けられていて、突起の部分が線状になっているものと点状になっているものがあり、前者は『進め』、後者は『止まれ』を表しています。近年では、歩道や駅構内、公共施設以外に商店の出入り口や横断歩道部分にも設置が進められています。
1967年に点字ブロックが誕生して以来、突起の大きさや数が統一されていませんでした。こういった違いは、視覚障害者が混乱する原因となってしまうため、2001年にJISが点字ブロックの突起の形・大きさおよび配列に関しての基準を作りました。さらに点字ブロックの色については、黄色が一番分かりやすいとされています。ですが、場所によってはコンクリートと同じ色をしている点字ブロックも見られます。また、点字ブロックの上を歩行者や自転車に乗った人など色んな人が通るため、欠けてしまったり、ひび割れてしまうことも少なくありません。全国各地の点字ブロックが分かりやすいものになるには、まだ時間がかかるかもしれません。
建物内や商店の前、歩道脇など様々な場所に、自動販売機が設置されています。飲み物を買いたい時などに便利ですが、普通の自動販売機は子供や車椅子使用者、大人でも小柄な人だと使いにくい場合があります。一番上の段のボタンが押しにくかったり、取り出し口が低すぎたりします。
元々あるバリアを取り除くというバリアフリーではなく、誰もが使いやすいものを最初から作るというユニバーサルデザインの考えから生まれたのが、ユニバーサル自動販売機です。この自動販売機には、主に次のような特長があります。
※ユニバーサルデザインのものであっても、自動販売機によって搭載されている機能(数)は異なります。