自立相談支援制度は、生活保護に至る前に自立支援の強化を図る為設けられた「生活困窮者自立支援法」に基づく制度です。
生活保護は資産や本人の能力を活用しても、生活が困難な人に対して、必要に応じた保護を行い、自立を助長する制度です。
生活保護を受ける前の段階で自立支援を行うもので、自立相談支援事業や、住居確保給付金の支給、その他、様々な支援の措置を行います。
福祉事務所を置いている自治体は、自立支援相談事業を実施し、自治体直営だけではなく、社会福祉協議会、社会福祉法人、NPO等に委託もしながら支援していくものです。
自治体に対し、必須事業と任意事業があります。任意事業の場合、全ての自治体で行っているわけではありませんので、詳しくは窓口にお問い合わせください。
必須事業 | 住宅確保給付金 | 住宅を離職によって失った生活困窮者に対して、有期で家賃相当の金額を支給する。 |
任意事業 | 就労準備支援事業 | 日常生活自立、社会生活自立段階から、仕事をするために必要な訓練を有期で実施する。 |
一時生活支援事業 | 衣食住の提供を、住む家のない生活困窮者に対し、一定期間行う。 | |
家計相談支援事業 | 家計の相談、管理の指導、貸付の斡旋等。 | |
学習支援事業 | 生活困窮者の自立促進、困窮家庭の子供への支援等。 |
生活保護は生活困窮者に対し、程度に応じて保護をし、人として最低限の生活を保証し、自立の手助けとするものです。世帯単位で行われ、資産、能力など、あらゆる手段を講じ、それでも生活が成立たない場合に受けられる制度です。
生活保護を受ける前に以下のことを活用しなければいけません。
資産の活用 | 土地、家屋は売却、預貯金などがあれば生活費に充てる。 |
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能力の活用 | 就労可能な人は能力に応じて働く。 |
あらゆるものの活用 | 年金、様々な手当てが給付可能な場合は活用する。 |
扶養義務者 | 親族からの援助が可能な場合、援助を受ける。 |
生活保護を受けるためには、事前の相談が必要になります。窓口で相談をし、保護費給付の決定まで、様々な調査をすることになります。
相談 | 事前相談では、制度の説明だけではなく、様々な制度の活用について検討します。現状についても口頭で聞き取りします。 |
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申請 | 申請をし、保護費支給の決定のため、様々な調査を実施します。 ・生活状況の把握のための家庭訪問 ・資産調査(預貯金、保険、不動産) ・親族への援助可否の調査 ・就労収入の調査 ・年金、社会保障給付の調査 ・就労可能か調査 |
支給 |
・年金や就労収入を最低生活費からひいた額を毎月生活保護費として支給(構成労働大臣が定める基準による) ・生活保護を受けている間は、毎月収入状況を申告する。 ・年数回、ケースワーカーが訪問調査する。 ・就労可能な人に対しては助言・指導し、就労するよう、働きかけます。 |
母子家庭の場合、生活費への心配が絶えないことも少なくありません。
最近、事情があって離婚することになり、母親一人で子供を育てている家庭が多くなっています。
自分一人分の生活費を得ることも難しい中、その上子供も育てなくてはならず、育児や仕事、収入のことまで一人で全部をこなすことは大変困難です。
そのような場合、利用したい制度として生活保護というものがあります。
自分が安定した仕事に就くことができて収入が安定するまで、あるいは再婚することができて収入の心配をする必要がなくなるまで、生活保護費を受給して一定の生活水準にしていくことが、自分や子供の未来にとって必要なことになります。
ここで注意が必要なのは、生活保護費を受給するためには、一定の条件があることです。
全ての母子家庭が生活保護を受けられるのではありません。
母子家庭で生活保護を受けるための条件としては、国が定めた最低生活費よりも現在の収入が下回っている必要があります。
国が定めた最低生活費よりも下回っていれば生活保護を受けられることになり、生活保護費を受給することができるのです。
ここで支給される生活保護費は、現在の収入と最低生活費との差額分が支給されるようになっているため、パートで働いているなどして収入がある場合は、支給される生活保護費は減ってしまいます。
母子家庭の場合は、子供のいない人が受ける生活保護と違い、最低生活費が子供の人数分だけ加算されます。
これが母子加算と呼ばれるもので、住んでいる地域によって支給される金額が違ってきます。
また、母子加算とは別に、中学校卒業前の子供がいる場合では、子供1人につき15,000円が支給されることになります。
さらには、医療費や教育費の補助金などが最低生活費に加算されます。
生活保護の制度を利用することを恥ずかしいと感じてしまう人もいるかもしれません。
ですが、経済的に苦しいと、最低限の日常生活を送ることさえ、難しくなってしまうこともあります。
特に母子家庭や父子家庭の場合は、日々の生活費を工面することが精一杯で、子育てについて充分に考える余裕がなくなることも……。
そのような状況に陥らないためにも生活保護の制度を上手に利用して、生活保護費受給の申請をしましょう。
恥ずかしい……などと思っている場合ではありません。
審査に通れば、生活保護費を受け取ることができ、経済的に楽になります。
経済的に楽になるというのは、もちろん子供にとっても良いことだと言えるでしょう。
母子家庭や父子家庭で経済的に苦しい時には、生活保護費を申請することも選択肢の一つに入れておくことをお勧めします。
ここで、生活保護費受給のメリットを挙げてみましょう。
まず生活が安定すること……これが、生活保護費を受給することの大きなメリットの一つではないでしょうか。
生活保護費は後々返す必要はありませんし、必要最低限ではありますが生活がきちんと保障されます。
日常生活がある程度保障されることで、求職中の人なども仕事探しがしやすくなるでしょう。
生活保護を受けることで負担される費用として生活費以外に、医療費がサポートされることも広く知られているはずです。
子供が小さいうちは、病院にかかることも多いでしょうから、「お金が無くて病院で診てもらえない」という心配はなくなるでしょう。
そのほか、住宅扶助や介護扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助なども受けられます。
国民年金保険料やNHKの受信料なども負担されますし、住民税や所得税などの支払いも免除されます。
ただ、国民年金保険料の支払い免除で注意しなければいけないことは、年金の受け取り額が生活保護費受給期間のみ、半額になるという点です。
さらに、住民票や戸籍謄本、住基カードの発行手数料も無料になります。
一部地域では、水道の基本料金が減免されるところもあります。
これら各種支払い・税金の免除については、別途窓口での手続きが必要になるので、生活保護申請の際に担当職員に聞いてみましょう。
【生活保護費~母子家庭の場合】の項目でも述べているように、子供がいる生活保護世帯は義務教育費も負担されるようになっています。
全額支給ではないものの、その一部が毎月支給されるため、経済的にはかなり助かるでしょう。
子供の教育費はどうしてもかさむものなので、その点では大きなメリットと言えます。