前からボランティアに興味はあったものの、私に何が出来るだろうという想いがずっとありました。学生時代には、使用済みの切手や書き損じはがきをボランティア団体に寄付……そんなことをやっていました。
そんな中で、数年前に今までとは少し違ったボランティアを経験しました。
今から数年前、その出会いは突然訪れました。いつも休日に観ているテレビ番組の本紹介コーナーで、カンボジアの現状を綴った本の存在を知りました。著者は私よりも年下の男性で、自分が大学生時代からやってきたボランティアのことを本にしたものです。
映画化もされたその本を即買って、読書ペースの遅い私が一日で読み切ってしまいました。
その本を読んでから、自分も何か『人の顔が見える』ボランティアをしたいと思うように……。
本を読んでから数か月後、あの大参事が起こりました。東日本大震災です。震災後、毎日のようにボランティア活動のことがニュースで流れていました。ボランティアの人たちが大勢被災地へ行きます。ボランティア関連のニュースを見聞きしながらも、実際には街頭募金に寄付することくらいしかできない自分がいました。
本との出会い、そして未曽有の大参事発生……この二つの出来事が、私のボランティアに対する想いをより強くさせました。
本と出会ったあとで、起こった震災。なので、震災が起こる前に海外ボランティアについて自分に出来ることを少しずつ調べていたこともあって、そっちに想いが大きく傾いていました。そのときに、テレビを通じ目の当たりにした被災地の現状。今日本が大変なことになっているのに、海外ボランティアのことを調べていていいのかな……これが、当時の正直な気持ちでした。ボランティアをすること自体への迷いが出てきたのです。
それでも、ずっと抱いていた『ボランティアをしたい』という自分の想いを大事にしようと思いました。そうして、調べていた海外ボランティアをやってみることにしたのです。
それは、チャイルドドクターというもの。継続的に募金することで、ケニアの子供たちが無料で医療行為を受けられるようにする制度です。
私は遠い異国ケニアの孤児院にいる5歳の男の子をサポートすることになりました。私のボランティア内容は、半年に一度決められた金額を現地事務所に送り、あとは男の子と定期的にメールでメッセージや写真交換をして交流するだけ。金銭が絡むため、不安はありましたが母体が日本の病院ということで信じることにしました。ボランティアを続けて半年が経とうとした頃、現地のスタッフから男の子が新しい家族の元で暮らすことになったという知らせを受けました。担当の子供が新しい家族に引き取られると、サポートは終了となるとのこと。短い間でしたが支援してきた私にとっても、それは嬉しいニュースでした。
こうして、私のボランティア体験は終わりを迎えたのです。
口癖は「ま、いっか」。心のバリアフリーを大事にしたい30代女性です。