障害児も健常児と同じように就学期が近づくと、学校選びをすることになります。
障害児と言っても様々な障害を持つ子がいますが、今回は我が息子の体験談も含め、発達障害児の学校選びに関する体験談を紹介します。
障害児の我が子。
幼稚園の年中時代に「自閉症」と診断された息子は現在、公立中学校の普通級2年生。
8年前に近所の公立小学校へ進学する時は、普通級と特別支援級、どちらを選ぶかでとても悩みました。
この悩みは、障害児のお母さんなら経験したことのある方は多いのではないでしょうか。
小学校への進学1年前、つまり息子が幼稚園の年長さんだったころ。
4月時点で、息子はリュック型の幼稚園バッグを1人で背負うことができませんでした。
箸が使えず、フォークも上手く使えなかったため、お弁当は全てスプーンで食べていました。
着替えも1人では満足にできず、スモックのボタンを1人で留められませんでした。
特にどもりながらしゃべる姿は、誰が見ても障害児だったと思います。
そのどもりがあるためか、幼稚園ではほとんど言葉を発さず、友達もいませんでした。
息子のクラスの担当保育士さんには「このままでは、普通級は無理かと思います」と言われていました。
「せめてバッグを1人で背負えないと…ランドセルも1人で背負えないということになりますよね」
保育士さんの言葉に、私は納得していました。
小学校の普通級では、1クラス30人以上の生徒に先生はたった1人ですから、息子がランドセルを背負うのを手伝ってくださいなんてお願いできません。
息子には知能の遅れはないものの、認知の遅れが著しかったので、少人数の特別支援級でのんびり指導していただこうかな…と考えていました。
しかし結局この後、息子は普通級に進学します。
4月の時点でほぼ特別支援級に固まっていた私の気持ちを翻したのは、当時息子が通っていた療育でお世話になっていた先生の一言でした。
「普通級には、息子さんとっての『キラキラした憧れ』がたくさんあると思いますよ」
この言葉の意味は「小学校の普通級には、息子にとっての憧れの存在(自分ができないことができる同級生)がたくさんいる。憧れの存在を目で追って学習することによって、息子の大きな成長が見込める」ということ。
「障害児だけれど、普通級に行った方が伸びると思いますよ」と私にアドバイスしてくれたのです。
他の療育の先生からも「普通級でも大丈夫」と言ってもらえたので、私の気持ちは一転、息子を普通級に入れる方向に固まりました。
6月、私は担任の保育士さんに学校は普通級に入れたいという旨を伝えました。
すると、保育士さんは「分かりました。今後は自分でできることを増やせるよう、声かけをしていきますね」と協力を約束してくれました。
そのせいかどうかは分かりませんが、息子は年長の1年間でどんどん成長していきました。
幼稚園カバンも自分で背負えるようになり、箸もしつけ箸を積極的に利用して、なんとか使えるように。
着替えも素早くなり、幼稚園での係の仕事も積極的にこなせるようになりました。
一般的に、幼稚園の年長時代はぐんと伸びる子供が多いとのことですが、障害児である我が息子もその波にうまく乗ってくれたようです。
周囲の子供たちより1歩も2歩も遅れてしまう息子に根気よく付き添ってくださった保育士さんには、深く感謝することしきりです。
息子は現在中学2年生になりましたが、結果的に普通級に入れてよかったと感じています。
耳からの学習は不得手だったけれど、目で見る学習はできたようで、周囲を観察してさりげなく真似るスキルを自分で取得してくれました。
今でもやはり同級生とは比べて明らかに発達具合は劣っていますし、障害児であることは隠せませんが、普通級で学んできたのでここまで成長してくれたのではないかと思います。
幸いにも、現在までいじめられることはほとんどなく、親切な同級生に助けられながら、息子は毎日元気で学校に通っています。
今年5歳になる長女は発達障害を持っていて、言葉や理解力などに1年から1年半の遅れがあります。
1歳半健診にて言葉の遅れを指摘され、3歳から3歳半まで療育センターで登園サポートを受けていました。
登園サポートの効果があり、加配の先生がつくことなく、去年4月から幼稚園に通っています。
質問の意味が分からない、話す内容が何通りもの意味に受け取れるなど、まだまだ会話は謎めいていますが、娘にとって幼稚園生活が非常にプラスに働き、日々、娘なりに成長しているのがわかります。
そんな娘も今から約1年後には、就学準備を始めなければいけません。
私が住む地域では障害児の就学準備として、療育センター開催の就学説明会、保護者向けの学校見学会、児童の就学検査があり、幼稚園年長の時期に行われます。
障害児をもつ保護者は、公立小学校の通常学級と特別支援学級、特別支援学校などで就学の説明を受けます。
その後、学校見学を希望する保護者に対して、療育センターは学校見学の機会を設けます。
学校見学の後、療育センターを利用する児童や障害児を対象に就学検査の案内があり、その結果は、小学校の選定に反映されます。
また、学区の小学校では9・10月頃に保護者、児童、通常学級の教諭、特別支援学級の教諭による3者面談を行います。
通常学級のみに在籍、特別支援学級のみに在籍、両方の学級に在籍……この3つの選択肢の中からの保護者の希望と就学検査の結果より小学校側が在籍先を決めるといわれます。
現時点での私の希望は、学区の小学校です。
学区の小学校には通常学級と特別支援学級があります。
特別支援学級に籍を置きながら、基本的には通常学級で過ごすことが理想的です。
娘の状況や支援の必要性に応じて、臨機応変に特別支援学級を利用できればいいと思います。
療育に通う子供を持つ母親同士の話では、特別支援学級では言葉や理解力の成長は望めないといいますが、障害児にとって、通常学級より特別支援学級で学ぶほうが学校生活を楽しめる場合もあると思います。
娘は言葉や理解力に1年から1年半の遅れがありますが、周囲に刺激されて伸びるタイプで、現に年少から現在に至るまでの1年半で、親や主治医の想像を遥かに超えた成長を遂げました。
私は、娘が小学校でも通常学級の同級生から刺激を受けて成長できるのではないか、特別支援学級だけに在籍することは娘にとってマイナスの影響を与えると考えています。
結局のところ、通常学級と特別支援学級どちらに在籍することになるかは、来年受ける就学検査の結果により決定するところが大きいですが、私としては娘が楽しく、心地良く学校生活を送れるよう、最適な環境を整えてあげたいと思っています。
そして、ゆっくり成長する娘を後押ししたいです。
発達障害児が幼稚園、保育園などを卒園して就学する時ほど、親にとって頭を悩ませる時期はないのではないでしょうか。
わが家でも例にもれず、幼稚園年中の頃からあれこれ情報収集をし、直前まで悩み抜きました。
健常児の子供達は、通常何も考えることなく地域の小学校の普通学級に進みます。
私の息子は、発達障害のうちの自閉症スペクトラムと診断され、3才まで言葉が話せず、年長組になってもやや言葉の遅れが見られました。
そんな息子に考えられる進路は、小学校の普通学級、小学校の特別支援学級、特別支援学校の3つでした。
息子は幼稚園のほかに、自治体の療育教室に通っていました。
そこの先輩お母さん達のアドバイスに従い、私は息子が年中組の秋頃から、就学に向けての活動を開始しました。
まずは小学校の校長先生と面談し、特別支援学級や普通学級での支援、通級などについてお聞きし、特別支援学級を参観させていただきました。
その後も小学校の校長先生とは春に2度目の面談を行い、その後、最新の発達検査の結果を提出しました。
校長先生にはその年の秋頃にも、3度目の面談の機会を設けていただきました。
また、特別支援学級の担任の先生が春に変わっていたので、秋頃に再度参観させてもらい、息子の支援学級の「体験」をお願いし、私も同席して朝の会に参加させていただきました。
このほか、療育教室から特別支援学校の見学案内があり、初めて見学に行ってみました。
つたないながらも言葉でコミュニケーションは取れるので、特別支援学校ではなく、小学校の普通学級か特別支援学級になるであろう。
主治医からはそう言われていた息子。
小学校からは、特別支援学級を選ぶならその旨を年末までに申し出るように言われました。
年末に向けて、主治医の先生、言語療法の先生、療育教室の先生、そして幼稚園の担任や補助の先生と、あらゆる方々に意見をもらいました。
年長の秋までは、ほぼ皆さん全員の意見が「特別支援学級の方がよいのではないか」というものでした。
しかし、私は息子の特性を優先して考えました。
自閉症スペクトラムの子供は孤独を好むことも多いですが、息子の場合は集団の中にいるのが好きで、周りのみんなをお手本にまねをしながらがんばるタイプです。
その点では、特別支援学級ではあまり周りのお手本は望めないと思っていました。
幼稚園の先生も私の考えに同意して、「年長になってからの伸びを考えると普通学級でもいけるかもしれない」と言ってくれました。
それを受けて私は年末まで夫と何度も話し合い、息子の特性から普通学級でやってみようと決断したのです。
こうして息子は普通学級に入学しました。
入学前には息子の特性を記したシートを学校に提出し、入学後は担任の先生と事あるごとに面談をさせてもらい、息子の特性や対処のしかたについて話しました。
1年生のp2学期からは校内にある「ことばの教室」に週1回通い、言葉のゲームで苦手を補うなどの支援を受けました。
現在は中学年になりましたが、教室の席は入学以来、いつも前から3列目までにして下さり、困った時にはすぐ先生がフォローしてくれています。
先生ともこまめ連絡を取り合うよう心がけています。
就学の際には周りからも色々意見をもらうと思いますが、やはり大事なのは、わが子の特性を知り抜いている親の直感かなと思います。
もちろん周りの意見も参考にし、できる限りの情報収集をした上で、わが子にとって最善の進路を選んでほしいと思います。
自閉症の我が子の成長をゆっくり見守っていきたいと思っています。