手話は耳が聞こえない人のためのボディーランゲージのひとつとして利用されていて、一見すると世界共通の言語としてどのような国でも通じるのではないかと思われがちです。
ですが、実は世界共通というわけではなく、日本語と英語が書き文字で異なっているように、手話も日本語と英語では全く異なっています。
英語での手話は、日本語での手話とどのように違うのでしょうか。
手話はアメリカとイギリスでは手の動作が異なっていますし、当然他の国や言語によっても異なります。
ですから、世界共通だと思って使っていると、全く意味が通じていないということもあるのです。
これはどういうことなのかというと、そもそも手話は、身近なものや事柄を手で表現するものが多いという特徴を持っています。
そのため、手話を何も知らない人でも手振りを見て何となく言いたい事や何を意味しているのかを理解する事ができるようになっているのですが、これはあくまでもその国の身近なものや事柄・動作に準じたものだからだと言えます。
つまり国が違えば、同じ身近なものや事柄においてもそれに関連した動作や動きは異なってくるので、全く同じ手話にはならないという事です。
ちなみに、主な英語圏としてはアメリカやイギリス、カナダ、オーストラリアなどがありますが、アメリカ手話が使われているのは、アメリカ全土とカナダになります。
イギリスやオーストラリアでは独自の手話を使っていて、それらはアメリカ手話とは少し異なるものです。
分かりやすい例を挙げると、例えば食事をするという動作に関して日本の場合は、箸で食べるように2本の指でお箸を表す動作をすれば意味が通じます。
ですが、パンが主食の英語圏の場合は箸で食べる動作ではなく、手で食べると言う動作を表現する必要があるため、5本の指をすぼめて全部くっつけた右手を口に持っていくことで食事を表現します。
ほかにも、定番の動作として知られている「ありがとう」も異なっていて、日本では指先を相手に向けた状態で垂直に立てた右手で、上に向けた左手の甲を軽くポンと叩きながらお辞儀をします。
それに対してアメリカなどの英語圏の場合は、右手の指先を口に当ててそれを前方に出します。
このように同じ動作を表す手話であっても、日本と言葉や習慣が違えば動作も異なってくるので、日本と同じ手話をしてもアメリカやイギリスなどの英語圏では意味が通じないと言う事は珍しい事ではありません。
それぞれの国の手話をすべて覚えるのは難しいですから、異国の人と手話で会話するためには、まずは伝えようとする気持ちを重視する事を忘れないようにしましょう。
そして、話す相手の国で使われている手話の動きを見ながら覚えていくのがおすすめです。
そうしているうちに徐々に伝わる事が増えてくると言われていますし、外国語を学ぶような感覚で相手の国のことも含めて少しずつ手話を覚えていく事が大切なのではないでしょうか。
外国語も文法はもちろん大事ですが、もっと重要なのは相手に伝えようする気持ちです。
手話も同じで、苦労しながらも何とか伝えられたらそれで良し!
次はより上手に伝えられるように、努力していきましょう。
手話が世界共通ではなく、日本語と英語とでは異なるという事は、色んな国の人と手話を使ってコミュニケーションを取りたいと思ったら、その国ごとの手話を覚えなければいけません。
ところが、手話は視覚言語で融通性があるとも言われていますから、耳が聞こえない人同士の場合はすぐに通じ合える事が多いとされます。
耳が聞こえない人同士の会話のシーン、特に国際会議やスポーツ大会など国際交流の場面では、国際手話が用いられ、公用語の一つにもなっています。
各国の手話を基にしたものが、国際手話です。
国際手話で話すときは、相手が比較的理解しやすいと考えられる手話から選ばれています。
様々な分野で、どんどんグローバル化が進む現代社会。
国際交流をするために、国際手話を学ぶ事も悪くはありませんが、勉強するときは、まず日本で使われている手話を身につけることをお勧めします。
日本の手話をマスターした上で、国際手話も学び、異文化交流を図りましょう。
国際社会の中で必要とされるのが、国際手話通訳者です。
聴覚障害者の当事者同士が、国際手話を通じてコミュニケーションをとるのは、時と場合によって難しいこともあるかもしれません。
そんなときにいてくれると助かるのが、国際手話通訳者ではないでしょうか。
国際手話をマスターし、通訳者として活躍するためには沢山の時間と労力が必要です。
ですが、国際手話通訳者が、国際交流の一端を担う必要不可欠な存在になれることは言うまでもありません。
手話が国によって異なることは、すでに述べました。
とはいえ、世界全体で見ると聴覚に障害を持つ人がコミュニケーションツールの一つとして一番多く使うのが、アメリカ手話と言われています。
私たちが何か外国語を学ぼうとするとき、ダントツで多いのが英語なんだとか……。
世界中で一番多く使われている言語が英語ということですから、納得です。
様々な国がある中で、観光などで訪れることが多いのもアメリカとされていますし、国際手話で多く用いられるのもアメリカ手話です。
ですから、アメリカ手話を学ぶことで、より仲間の輪が広がり、異国の文化などを深く知る手助けになるでしょう。
最近は、アメリカ留学をする聴覚障害者も増えているといいますから、留学を目的にアメリカ手話を学ぼうと考える人もいるはずです。
また、アメリカ手話を取り入れている国もあり、アメリカやカナダだけではなく、フィリピンやマレーシア、タイなどでも使われています。
日本で使われている手話では通じない国でも、アメリカ手話なら通じるというところも少なくありません。
手話がベビーサインにも取り入れられていることをご存知ですか。
ベビーサインは、まだ上手に言葉を話せない赤ちゃんと簡単な手話やジェスチャーを使いながら意思疎通をする方法です。
1990年代の中頃にアメリカで使われ始めたベビーサインは、2000年以降日本にも広がっていきました。
日本で紹介されているものには、日本手話をはじめ、アメリカ手話やジェスチャーなどが取り入れられています。
アメリカでは、「アメリカ手話に基づくもの」と「ジェスチャーに基づくもの」とに分けられます。
アメリカ手話の共通言語としての機能が重視されるもので、まずは大人が覚えなければいけません。
大きな動きで表現するものが多くあり、小さな子供にもわかりやすいサインです。
親子間だけでなく、ベビーシッターや保育士さん、他の子供たちとも同じサインを使ってコミュニケーションができます。
シンプルで伝わりやすいサインが多いという特徴があります。
一方で、ジェスチャーに基づくものは基本的に親子間のコミュニケーションツールとして使われます。
既存の手話やジェスチャーの中からわかりやすいものを選んでもいいですし、親が独自のサインを考えてもかまいません。
また、子供自身がサインを創り出すこともできます。
ただ、創り出したサインが他のサインと似たものになってしまうことも少なくないため、気をつけなければいけません。
英語と日本語での手話の違いは……?
調べ出したら、もう止まらない!