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障害児の就学~我が家の体験談

HN:3児のママ

障害児の就学01

障害児の就学……それは私にとって、無関係なことではありません。


私の長女には、自閉症スペクトラム障害と軽度の知的障害があります。

育児の中で、小学校入学前が色々と悩み、一番大変な時期でした。

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障害児の就学:小学校編

障害児の就学についての情報は、早い時期から集めていました。


というのも、長女は私立幼稚園に入園したものの、2年目の年中頃から登園を渋り始めました。

友達関係も作れず、毎日ひどい癇癪を繰り返すため、専門医の診察を受けたところ、自閉症スペクトラム障害と軽度の知的障害という診断が下ったのです。


そのため、小学校の普通学級は無理だろうと考えていました。

障害児の就学についての情報は積極的に集める中で、障害児が小学校で学ぶ場合は普通学級以外に、特別支援学級、特別支援学校、通級(現在は特別支援教室に変更)があることを知りました。

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就学に向けて区役所で面談

障害児の就学02

地元小学校の普通学級に入学するのであれば、入学前年の9月くらいまでに届く、通学することになる小学校と就学時健診のお知らせを待つだけですが、支援学級などへの就学を考えている場合は、まず区役所での面談が行われます。

入学の前年の6月あたりに、自治体の広報紙やホームページに、就学相談の案内が掲載されます。


私の地域では、教育支援センター特別支援教育課が相談窓口になっています。

個人面談の予約を取り、7月末頃に親子で区役所の特別支援教育の担当者を訪れました。

そこで成育歴、保育園や幼稚園での様子、現在の通院や療育のこと、希望する進路などを聞かれます。


この面談までに、特別支援学級が設置されている学校公開に何度か出向いて、候補を決めておきました。

療育施設での親の会などで、先輩ママたちから聞いた就学体験も役立ちました。

面談には、母子手帳以外に、専門医の診断書や発達検査の結果なども持参しました。

障害児の就学相談会に参加

障害児の就学03

区役所での面談も就学相談の一つですが、実際に特別支援学級に入級するためには、秋から年末にかけて行われる「就学相談会」に参加する必要があります。

就学相談会は、特別支援学級や特別支援学校の現役の先生、臨床心理士、医師など十数人が集まり、地域の教育相談所で行われました。


相談会では、平日の午後に2~3時間ほどかけて、参加する子どもたちを何組かに分けて模擬授業的なことを行い、その様子を複数の先生方が観察し、小学校の就学先を専門家の目から提案するというものです。

この時、親は別室で待機するので、集団行動が苦手な子どもの場合、親子で緊張するひと時です。

長女の時は、別室から窓越しに大勢の先生たちが広い部屋の壁沿いにずらりと並び、そこへ数名の子どもたちが入って行くのが見えました。

そして椅子に腰かけて授業を行う先生の話を聞いたり、質問に答えたり、簡単な運動をしたり、お絵描きをしたりする様子がうかがえました。

障害児の進路の最終決定は親

障害児の就学04

私が考えていた以上の数の大人たちが子どもたちを観察していたので、まだ就学前の子どもたちに緊張するなと言う方が無理だと思いました。あれだけ多くの見知らぬ人たちに囲まれたら、大人でも委縮してしまいます。


それでも子どもたちを誘導する先生は手慣れたもので、集団行動が大の苦手の長女も、全身汗びっしょりになりながらも、ニコニコしながら親の元へ戻ってきました。

緊張する状況下でも、子どもたちに無理を強いるようなものではないようです。

しかしそんな中でも、障害児と日々接している先生方は、子どもたちをしっかり観察して判断しています。

就学相談会に参加したその日の夕刻に、担当者から電話があり、「特別支援学級が相応かと思います」との報告を受けました。

これは専門家からのあくまで「意見」なので、強制ではありません。就学相談に臨んだとしても、最終的に進路を決めるのは親です。


その後、希望している学校の支援学級に入れるかどうかの連絡が入り、年明けには学校名入りの正式な入級決定通知書が郵送されてきました。

障害児の就学:中学校編

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私の長女は小学校6年間、区立小学校の特別支援学級に在籍していました。

小学校に入学する前は大変でしたが、小学校の特別支援学級に在籍していて、中学も引き続き特別支援学級を希望する場合は、あまり煩雑なことはありません。


長女が在籍していた特別支援学級には、常に1年~6年生まで20~30人もの児童がいるクラスでしたので、毎年先輩たちがどんどん中学へ、その先へと進んでいきます。

そのため、自然に小学校卒業後の情報も入ってきました。

特色が出る中学校特別支援学級

小学校就学の時と同じように、中学の学校公開も一通り親子で見学しました。


公立の中学校数を考えていただければわかりますが、中学校は小学校より規模が大きくなり、数は少なくなります。

中学の特別支援学級の数も限られてきます。


「あそこは優秀な子が集まって勉強レベルが高い」

「あそこはそうでもない」

「あそこは校則が厳しい」


私が住む地域では、このように支援学級ごとに学風やレベルの違いが結構はっきり出ていて、障害のレベルによって就学を選び分けられる状況になっています。

最終決定は本人にお任せ

我が家の場合は、親子で悩みに悩んだ末、どこの中学校にするかは、最終的に長女本人に選択させました。 ここが、小学校就学時とは違う点です。

「選択する」という行為は、思った以上に精神的エネルギーが必要なものです。

特に自閉症スペクトラムなどを持つ障害児にとっては、混乱したり、大変なプレッシャーになり得ます。

長女も後から精神的に不安定になってしまい、大変でした。


しかし、障害を持っていたとしても、今後も人生を歩むうえで「選択する」という場面には何度となく出くわすことになります。

そういう思いもあり、我が家では精神的に辛くても、長女本人に進学先を選ばせました。

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中学校就学までの具体的な流れ

障害児の就学06

小学校では既に特別支援学級に在籍していたため、中学校への就学希望の書類は担任の先生に提出しました。


そして、書類提出から一月もしないうちに就学相談会に臨むことに。

当日は、6年生クラスメート全員そろって参加、つまり小学校の支援学級ごとの参加となりました。

いつも一緒に過ごしているメンバーで指定された中学校に出向き、親は別室で待機していますが、小学校の就学相談の時とは違ってみんなリラックスしたムードでした。

やはり模擬授業のようなことを行うようですが、長女の話では、すべて体育館の中で行われたそうです。

バスケットの試合をしたり、体育館の隅に机と椅子が置いてあり、そこで担当の先生と面談したり、簡単な筆記テストにも取り組んだとのこと。


親は別室待機中に、特別支援教育の担当者から、翌年度の支援学級希望者数などを聞かされ、ほぼ希望通りの学校に入れるとの説明を受けました。


そうして、年明けには小学校の時と同じように、入級の知らせと入学説明会の案内が届きました。

特別支援学級に入ると高校入試に臨めない

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小学校では特別支援学級に在籍していても、中学から無理をしてでも普通学級に移る人がいます。

親が付き添いながら、小学校から普通学級に通い続けるお子さんもいます。


発達障害や軽度知的障害があっても、「学歴」にこだわる場合は、どんなに本人が辛くても、学校に不適応を起こしても、普通学級に通い続けるしかありません。

なぜなら、特別支援学級には、中学校から始まる定期考査というものがないため、内申書が作られず、通常の高校入試が受けられないからです。

ですから、中学校就学の際は、その点をよく考えなければなりません。


ただ、中学校不登校者は減る様子はなく、なんとか高校に入ったとしても、途中退学者も毎年数万人いるのが現実です。

障害のあるなしに関わらず、就学するとはいったい何なのか、親としては考えてしまいます。

卒業後の進路にも広がりが!

障害児の就学08

中学校は3年間しかなく、すぐに高校受験が待ち受けています。

中学生は勉強に部活、高校入試準備と大忙しですが、複雑な思春期のため、どの中学校にも不登校の生徒が一定数います。


不登校の生徒も定期考査を受けないことが多く、場合によっては内申書が作成できません。

そのため、通常の高校受験は断念せざるを得ないケースも出ています。

そんな不登校生徒の受け皿として、東京都の高校が取り組んでいるのが、チャレンジスクールやエンカレッジスクールと呼ばれる「新しいタイプの高校」の設立です。

これらの高校入試には内申書は必ずしも必要ではなく、試験も小論文や面接がメインなので、特別支援学級出身者の進学も増えています。

障害児の就学:高校編

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長女が入学した中学校の特別支援学級は、地域でも一番レベルが高いとされるクラスです。

中一の数学レベルは学習しますし、いわゆる受験英語は習いませんが、簡単な英会話や英単語、また地理なども勉強しています。

漢字検定も奨励されていて、運動会なども普通級とほぼ同じように参加します。


特に長女のクラスは、発達障害や学習障害があっても、知的にはあまり問題ない生徒が多い印象ですが、基本的に特別支援学級在籍の生徒は皆、療育手帳(東京都では愛の手帳)を持っています。

発達障害や学習障害を積極的に援助してくれる制度は現在ないため、とりあえず療育手帳を持つことが多いのです。


そんな生徒たちの進路は、真面目で勉強熱心にもかかわらず、定期考査を受けていないため、中学卒業後の就学の選択肢は、普通学級にいる生徒よりもずっと狭まってしまいます。

少なかった選択肢に変化が!

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特別支援学級は一般的に知的障害児クラスということになっていますが、実際には不登校児やごく軽度の知的障害を伴う発達障害児など、いろいろなタイプの生徒が在籍しています。


少し前まで支援学級の生徒の多くは、中学卒業後、地域の特別支援学校の高等部に就学していました。

つまり、小学校入学時に、「特別支援学級」にするのか、「特別支援学校」にするのか悩んだとしても、中学卒業後は結局どちらも同じ進学先しかないような状態でした。


しかし現在、東京には同じ特別支援学校でも企業就労を目指す、東京都立知的障害特別支援学校高等部職業学科が設置され、多くの生徒が学んでいます。

東京以外では、高等特別支援学校と呼ばれることもあるようです。

いずれも高校に準じた学校ではありますが、最終学歴は残念ながら高卒にはなりません。

厳しい職業教育

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特別支援学校高等部職業学科は一般的な高校ではありませんが、普通の高校生活より厳しいくらいの職業教育が行われています。

様々な職場に勉強のため赴くことになるので、療育手帳を持つ障害児であっても、健康で意欲も体力もあり、公共交通機関を一人で利用できることが就学の条件となります。

3年間の厳しい職業訓練ですが、卒業したのちの就職率・定着率は確実に上がっているようです。


現在、東京都で高等部職業学科が設置されている特別支援学校は、以下の通りです。

  • 平成19年度開校 永福学園就業技術科 100名募集
  • 平成21年度開校 青峰学園高等部就業技術科 60名募集
  • 平成22年度開校 南大沢学園高等部就業技術科 100名募集
  • 平成25年度開校 志村学園高等部就業技術科 80名募集
  •     
  • 平成26年度開設 足立特別支援学校高等部職能開発科 20名募集
  • 平成27年度開校 水元小合学園高等部就業技術科 80名募集
  • 平成28年度開設 港特別支援学校高等部職能開発科 20名募集

数は順調に増えており、大人数の学校もあれば、少人数制のところもあります。

また全国を見渡せば、私立高校で同じような職業教育のための専科を設置している学校もあり、学寮制の学校も登場しています。

高校中退や不登校の受け皿が障害児就学にも

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我が家の長女は、職業学科のうわさや大変さを聞くにつれ、「私は普通の高校生活を送りたい」と、繰り返し言うようになりました。

療育手帳持ついわゆる「障害児」であっても、もっと勉強したい、ごく普通の高校生になりたいと思うのは、自然なことだと思います。


しかし、障害の有無にかかわらず、中学の次は高校へ行って……という通常コースから外れてしまう若者は増えています。

高卒資格を取るための通信教育は昔から知られていますが、通信教育の形を取りながら、キャンパスライフも過ごせるタイプの通信制高校サポート校もあります。

そんな中、東京都の高校が実施しているチャレンジスクールとエンカレッジスクールが注目されています。

チャレンジスクールの特徴

チャレンジスクールは入試に際し、内申書なしでも受験可能です。面接と小論文で入れる高校のため、特別支援学級出身者にも門戸が開かれています。

昼(午前・午後)・夜間の3部制の定時制・単位制で、普通科でも専門学科(工業・商業・農業等)でもない、第3の新しい学科の総合学科となっています。

本人の適性に合わせたカリキュラムを組むことが可能なため、長女の担任の先生からは今のところ、このタイプの学校を勧められています。

エンカレッジスクールの特徴

エンカレッジスクールは、全日制・学年制・普通科で、より一般の高校に近い学校です。

専門学科を設置しているところもあります。

入試では小論文や面接に、実技や内申が加わり、学校生活では、将来社会生活を送るための基礎的・基本的学力を身につけることを目標とし、定期考査などはないようです。

障害児の就学について思うこと

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障害児の就学はまだ厳しい面も多いですが、少しずつ選択肢は増えています。


我が家の場合も、本人の勉強の進み具合と意欲、将来の希望とを合わせながら、中学卒業後の進路を決めていくことになりそうです。


筆者情報 筆者「3児のママ」
■3児のママ

3児のママです。
長女に発達障害と軽度知的障害があることから、福祉のことも日々学んでいます。



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