介護職は、介護の資格を取得した人にとって身近な職業だと思います。
介護の仕事をする中での失敗談を私のエピソードも含め、いくつか紹介します。
介護職に就いてから、私は様々な失敗を経験しましたが、そのおかげで学ぶことも多くありました。
あるとき、身体介護が必要な男性利用者さんの担当になりました。
それまで私は身体介護について研修しか受けたことがなく、実際に介護支援したことはありませんでした。
その方は、胃ろうと器官切開をされていました。
清拭やおむつ交換のあと、口腔ケアを行うのですが、歯磨きの際の工夫に驚かされた私。
歯ブラシにバキュームが付いていたのです。
うがいが出来ないので、ケア後はバキュームで口の中の汚れを吸い取ります。
軽く歯磨きをしてからバキュームで汚れを吸い取っていたところ、利用者さんがご自分の唾液のせいで呼吸が出来なくなり苦しそうな表情に……。
慌てた私は家族の方に声をかけ、様子を見てもらいました。
幸い何ともなく安心したものの、このときの介護体験がきっかけで利用者さんに万が一のことがあったら……と、介護職そのものに怖さを感じるようになりました。
そのあとも、何回かその方の支援に入りましたが、しばらくして、肝機能が弱くなり入院されたとの連絡を受けました。
介護職について以来、私は色んな利用者さんの介護をさせてもらっています。
など、身体状態や生活環境も、人それぞれ違います。
もちろん、各利用者さんに合った介護をしなければならず、大変なことも少なくありません。
個々で介護方法が異なるため、時には失敗してしまうこともあるでしょう。
その失敗も小さなものから、少し大きめのものまで様々です。
例えば、利用者さんの機嫌を損ねないために、本来やるべき介護をしないなどはよくありません。
失敗することを考えてばかりいては、必要な介護も出来なくなってしまいますから。
訪問介護で利用者さんの入浴介助とベットサイド回りの清掃を行っていたとき、特に気をつけていたのは入浴介助です。
利用者の方が風邪を引かないように、手早い入浴介助を心がけていました。
その方は歩行が困難で、湯船に浸かっている間も足が浮いてしまいます。
そこで介護の研修で教わったように、浴衣の紐をお腹周りを軽く縛り、その紐を持ち上げたり沈めたりすることで少しでも楽に入浴できるように工夫していました。
中でも冬場の入浴後は風邪をひいてしまわないよう、早く服を着られるように介助することが大切です。
介護の失敗を防ぎながら、利用者さんに気持ちよく過ごしてもらうための工夫が必要……
これは私が介護職をする中で実感したことの一つです。
介護職としてグループホームに勤め始めて、まだ間もない頃の私の失敗談を紹介しましょう。
グループホームに勤務して3カ月が経ち、1人で夜勤をし始めた頃。
初めて介護事故を起こしてしまいました。
幻覚幻聴の症状があるAさんが、ベッドから起き上がり、床に足を下ろした状態で座っています。
私が「Aさん、どうしたんですか?」とたずねると、「天井から血が垂れている」とAさん。
床を指差して、「血の海だ」と言います。
天井から血が垂れてもいないし、床に血の海も見えません。
Aさんの発言への返事を考えている時、Bさんの居室でセンサーが鳴りました。
私はAさんに「またすぐに来ますから、このまま座っていて下さいね」と声をかけ、Bさんの居室へ行くと、「トイレに行きたい」とのこと。
Bさんは自分で歩けますが、歩行が不安定なためトイレまで介護者が付き添っています。
Bさんをトイレに連れていった時、遠くからドスン!という音が……。
慌てて各居室を見て回り、Aさんの居室へ着いた時、Aさんは床で仰向けに倒れていました。
「Aさん、大丈夫ですか!」と声をかけ、顔を見ると、目を大きく開けたまま「こけたんだ」とAさん。
ベットから起き上がり、幻覚が見えている状態で1人にさせてしまったことで、転倒事故が起こってしまったのです。
Aさんの元から離れる前に、せめてベッドに横になってもらってから、その場を離れるべきだったと反省しました。
「このまま待っていて下さい」という言葉をすんなり聞き入れてくれる時と、今回のように幻覚幻聴が出ている場合とでは状況が違うからです。
また、事故が起こってから隣のユニットへ応援を頼みましたが、センサーが2室以上鳴った時点で応援を頼むという選択肢もあったのです。
今回の事故は、Aさんは転倒して怪我をしてしまい、Bさんのこともトイレで待たせてしまうという結果になってしまいました。
Bさんはトイレで待ってくれていましたが、もし1人で歩こうとしてBさんも転倒していたら……と思うと、ぞっとします。
Aさんは幸い大きな怪我ではなく、バイタルも正常値、歩行もできました。
事故を起こしてしまった時は本当に落ち込みましたが、怪我をさせてしまった後の対処の仕方や事故報告書の書き方など勉強することもできたので、なるべくポジティブに考えるようにしています。
それからは失敗を繰り返さないように、センサーが2室以上鳴ったときの優先順位の把握や、隣のユニットに応援を頼み易いようにスタッフ間のコミュニケーションを大切にしています。
介護職の経験者であれば、大問題になりかねない失敗談を持っているのではないでしょうか。
人間対人間なので、いつ何があるか分かりません。
介護職に就いている私の失敗談を紹介します。
車椅子利用者の外出介助中、歩道の溝に車輪がはまってしまいました。
その瞬間車椅子ごと転倒したと思いましたが、車椅子は斜めに傾いてはいるものの、倒れてはいませんでした。
慌てて車椅子の位置に戻そうとしますが、力が足りずにどうすることも出来ません。
トラックで通りがかった男性が、わざわざトラックから降り、利用者さんが体勢を立て直すことを手伝ってくれました。
車椅子が倒れなかったため、利用者さんに怪我はありませんでした。
しかし、倒れてしまえば骨折などの重傷になる可能性が高く、介護職について初めての失敗であったため、恐怖を感じました。
以来、車椅子利用者の外出介助の際には、道路状況に一層気を付けるようになりました。
私がグループホームに勤務していた時の失敗談です。
夜勤は基本的に仮眠タイムがなく、自分のペースで業務を行い、時間を見て休憩を取っていくようなシステムでした。
ある勤務日に私は体調が優れず、深夜に利用者さんが寝ていることを確認してから、風邪薬を飲んで少し休もうと考えました。
しかし、『少し』のつもりが4時間以上も熟睡してしまったのです。
慌てて飛び起きて全室を確認したところ、皆問題なく眠っており、安心しました。
利用者さんが汚してしまったトイレを綺麗にするだけで済みました。
ある時は、車椅子からベッドに移乗のサポートをする際に、車椅子に利用者さんの足がぶつかって怪我をさせてしまいました。
患部が出血していたので、とても焦ったことを覚えています。
まずは先輩に報告し、看護師さんに処置をしてもらいました。
以来、移乗介助の際には車椅子の位置や、利用者さんの足の位置に特に気を付けるようになりました。
またある時は、ベッドの柵のセットを忘れて、利用者さんが落ちてしまったこともありました。
ゆるりと落ちる瞬間に気付いたため、利用者さんに怪我はありませんでした。
勢いよく、誰も見ていない瞬間に落ちていたら……と思うと、恐怖を感じます。
室内の保湿のため、濡れたタオルを入居者さんの部屋へ干したときのこと。
タオルに含んだ水の量が多すぎたようで……。
しばらくすると、干したタオルの下が水浸しになっていました。
幸い拭き掃除をするだけで事なきを得ましたが、ともすれば入居者の転倒につながる状況を作ってしまいました。
『失敗は成功のもと』と思い、一度やってしまった失敗は繰り返さない事を心掛けていました。
どのようなミスが現場で起きているのか、どのようなことで失敗してしまうのか危険予測や注意をして、利用者・入居者からできる限り目をそらさずにいること……
それが介護の現場での失敗を防ぐ方法なのだと思います。
失敗は成功のもと!
日々、できるだけプラス思考で頑張っています。