両親に「ヘルパーの講座、やってみてもいい?」と話したときには「やりたいならやっていいよ」と答えてくれましたが、本音は「無理、今の状態では途中でやめるだろう」と思っていたそうです。自分でも思いました。「無謀なチャレンジかも……」と。
両親と同居して毎日の生活の面倒を見てくれるから何とか入院しないレベル、一人暮らしだったら逆にヘルパーに来てもらわないと生活できない状態でした。ヘルパーを必要としているわたしがヘルパーになれるのか……。
通信添削課題、朝から夕方までの授業、4日間の現場実習に耐えられるかが不安でした。『体力があっても疲れやすい』、『午前中は体調が悪い』という、うつ病の症状が大きなハードルです。
まぁ、とりあえず障害年金で貯めたお金で受講料も払えるし、やってみなくちゃ分からないだろうと申し込みました。
約10年間も家の中と病院の中だけで過ごしてきたわたしにとっては、周りの人と一緒に授業についていくのは大変でした。でも、周りの人たちにも支えられました。できなくて落ち込んでいるときに「もう1回やろう。練習すれば大丈夫」と言ってくれたり、「今日はお疲れさま、また次回ね」という何気ない会話は久しぶりでした。
入院しているときには気付かなかったけど、シーツ交換がこんなに大変で、Aさんが毎週あんなに丁寧に、手早くやっていたのを思い出すと、すごいんだな~と実感しました。
演習が全て終わったあとは、老人ホームや訪問介護での実習を行いました。たいしたことはしませんが、気づくことはたくさんあり、実習で初めて次のことを再認識することができました。
■ 人は年を重ねても、病気になっても、生きている限り成長しつづけること
■ 高齢者は人生の先輩として尊敬すべき存在だということ
わたしが実習中に1番印象に残ったことは、利用者さんに呼び止められたこと。名札はつけていてもお互い名前は分かりません。「りんごのエプロンのお姉さん、ちょっと手伝って」と。「わたし?わたしにできることがあるの?」と思い、本当にうれしかったです。家族や病院のスタッフからお世話される側として生きてきて、「わたしには何もできない」と思い込んでいて、それが劣等感だったからです。
他の人と病気のことは関係なく一緒に学び、日程通りに修了できたことは大きな自信になりました。
「講座、修了できました!!」とショートケアで話すと、ケアワーカーのAさんも、一緒に通っていたメンバーも拍手で喜んでくれました。もちろん、両親もです。
自信を持ったわたしは転居の予定が半年先になった期間に、全身性障害ガイドヘルパー、同行援護従事者一般過程・応用課程と連続して修了しました。色々資格をとったので、少しでも早く働きたい気持ちがありますが、電車通勤ができるか、どのくらいの時間働けるかなど、就職に向けて少しずつ課題をクリアしているところです。
転居後は月1回だけの、愛知から東京までの遠距離通院(?)になりました。もうケアワーカーのAさんと会うことはほとんどありません。でも、もし会った時には自分なりに前へ進んでいることだけは伝えたいと思っています。
愛知県在住の女性です。
うつ病を学生の時に発症し、療養生活を続けています。
今は働けるようになりたいので、少しずつステップアップしています。