何か縁があって介護のお仕事をしています。私のお仕事の体験談をお話します。
私が働いているのは、大手企業が運営する有料老人ホームです。
有料老人ホームは、特別養護老人ホームと違って、かなり高額のお金がかかるので、当然入居者はお金を持っている方々ばかりです。しかも、特に富裕層が多く集まるエリアにあるホームなので、お金持ちといっても、普通のお金持ちではなく、「超」が付くほどのお金持ちが集まっています。当然名前は明かせませんが、テレビで見たことのある人や各界では有名な人もご入居されています。
どの仕事でも、きっと楽しいこともあればそうでないこともあるかと思いますが、この仕事も同じです。ですが、私はそうではないことも含めて、この仕事をして良かったと感じるところがたくさんあります。
以下、私が介護をしていて良かったと感じたところをまとめてみます。介護に興味のある方の参考になれば、幸いです。
ベッドから車いすへ、また、車いすから普通の椅子への移動の介助をする際、身体の重心移動をベースに行います。こうすることで、入居者が安全に、かつ、こちらの腰も痛めずに快適な介助ができるわけですが、これは働く中で自然と習得できます。
この介護技術を使いこなせるようになると、例えば、2m近くある大柄な男性をヒョイと軽々移動させることができます。実際に、身長が150cmと小柄な女性の先輩がそうしている光景を見ますが、もう「スゴイ!」の一言です。
介護の仕事ほど、1人の人の亡くなる寸前まで関われることって無いと思います。私も介護の仕事をしていて、何人もの入居者が亡くなるまでご一緒させていただきました。
前述したとおり、特に私のホームがあるエリアは富裕層が集まっています。そして、そのホームの入居者もお金持ちが多いです。
ですが、お金があるからといって、必ずしも幸せかといえば「うーん?」と唸らざるをえないように思った場面を多々見させていただきました。
例えば、会社を経営されてきたある男性は、働かずにホームで過ごされていますが、一生涯困らないほどのお金を持っています。ですが、いつも他の入居者に対して怒鳴ってばかり。
認知症の高齢者も少なからず入居しているので、当然、その症状で声を出す人もいるのですが、それに対して怒鳴ります。その男性の気持ちは想像するに、経営者として頑張ってきたのに……という悔しい気持ちがあるのだと個人的には思いますが、真偽は定かではありません。
確かなことは、その男性が幸せそうではないということです。有り余るほどのお金を持っていても、100%幸せになれるかといえば判らないものです。また、お金=死ぬまで笑顔でいっぱいで、幸せな状況を保証するものではないのだということをとても考えさせられました。
東京生まれ東京育ち。好奇心と縁があって介護のお仕事をしています。
色々と哲学できるチャンスをいただいています。