ずっと家族だけで介護をしてきて、限界を感じている方も多いかと思います。けれど、介護サービスを受けることに抵抗がある、あるいは家族の反対がある……我が家がそうでした。どうやって変化していったかを書いてみます。
母は20数年前に、脳出血で半身麻痺となりました。以来ずっと自宅で、父と長女である私が面倒をみてきました。実質ほとんど私が介護している状態で、さすがに疲れやストレスも溜まります。
母は介護申請も何年も前にしてあり、要介護4です。そろそろ介護サービスを受けようと父親に提案しました。すると、「お母さんが可哀想だから」「あと何年もないのだから」 多くの男性がそうであるように、父も人様の手を借りるということにはかなり抵抗がありました。母も、娘に介護してもらうのが一番安心なので、結局いつも話はそこから進みませんでした。
ところが、ある時父に病気が見つかり手術することになって、20日間ほど入院しました。 その間、父は母のことが心配で仕方なかったようです。1日も早く退院したいというその気持ちを看護師さんが気づき、父に助言をしてくださいました。
人の手を借りるのは恥ずかしいことではないこと。
例えば、私の急病など何かあった時、誰かが母の面倒をみる必要があること。
いざとなってから動き出しては遅いこと。
優しく丁寧に説得してくださいました。その助言のおかげで、「介護サービス、やってみるか」と、父の心は動きました。
父親の気が変わらないうちにと、すぐ地域のサポートセンターへ相談に行きました。ケアマネさんも紹介してもらい、相談員さんたちと何が必要かを考えました。
とりあえず、デイサービスを利用することになり、週2回という無理のないペースに設定しました。母の不安感は手に取るように分かります。最初はデイサービスへ通う際、2日間付き添うことに決めました。1日目は私、2日目は父が……。まるで、保育園児ですね。
ところが、案ずるより産むがやすし。元来、人と交わることの好きな母親の性格が幸いしました。お仲間にも恵まれ、スタッフさんにも本当に親切にしていただき、あっと言う間に打ち解けてしまったのです。今では、週2回のデイサービスをとても楽しみにしています。一度も休むと言いません。
もうすぐ桜の季節です。デイサービス・スタッフの方が、近所へお花見に連れて行ってくれるとのこと。桜の花の下で、笑っている母を想像するだけで、こちらも笑みがこぼれます。
母が介護サービスを受けるにあたり、的確な第三者の助言の必要性、ありがたさが身に染みました。
今、同じような立場にある方は、周りを見回してみてください。かかりつけのお医者様。親切にしてくれる看護婦さん。そういった助言・提言をしてくださる方がきっといるはずです。
お住まいの地域で呼び名が違うかもしれませんが、市町村に地域包括サポートセンターというのがあります。ぜひ出向いてみてください。そして、一歩でいいから前へ進んでくださいね。
母の介護をして20数年、日々勉強です。