「傾聴」という言葉をご存知ですか?「傾聴」とは、相手の話に関心を持って、注意深く耳を傾けて聴くことです。「聞く」と「聴く」の違いを考えてもらえると、わかりやすいかもしれません。傾聴を行うことで、話し手の方は、すっきりした気分になります。
私たちは主に高齢者施設に入居されている高齢者を対象として、傾聴活動を行っています。 私自身、介護福祉士として、高齢者施設で働いているのでわかりますが、施設の介護スタッフは日々の業務に追われることが多く、ひとりの方の話に長い時間、耳を傾けて聴くということをやりたくても、なかなかできないといった現状があります。そこで、私たちボランティアが施設を訪問し、傾聴を行い、一人でも「話が出来てすっきりした」気分になってもらおうと思い、活動しています。
私たちがボランティアグループを作ったのは、地元の社会福祉協議会が開いた「傾聴ボランティア養成講座」に参加した有志が集まって始めたのがきっかけです。市内には他に傾聴ボランティアグループがなく、私たちが市内で最初の傾聴ボランティアグループなのだとか。
養成講座を受講したとはいえ、実際に傾聴ボランティアとして活動するのは、みなさん初めてということで、不安もありました。私の他にも介護職のメンバーがいて、職場で傾聴の体験をされており、助かっています。また、近隣の自治体で活動している他のグループの活動や勉強会に参加させていただいたのも、良い経験でした。
最初の活動は、市内の高齢者施設でした。活動日当日までに、何度か私が施設に足を運び、施設長さんやケアマネさんとボランティア活動をするにあたり注意すべき点を話し合いました。例を挙げると、「秘密保持」「介助行為は行わない」「身分証を提示する」などです。こちらからの要望として、介護スタッフさんたちに、活動中はそれとなく気を配ってほしいことをお願いしました。万が一の事故防止や、ボランティアで対処しきれない状態を想定してのことです。
最初の活動から、数度の定例会や活動を経て、私たちのボランティアグループもそれらしくなってきました。メンバーの中には「なにかやりたいけど、どうしていいかわからなかった」という人もいて、「参加する人のためにもなっているのだな」とうれしい気持ちにもなります。また、市の広報紙でメンバー募集のお知らせを見て、参加者だけでなく、「うちにも来てほしい」という問い合わせもあって、改めて傾聴のニーズの高さを感じています。いずれは在宅訪問もしてほしいという要望もあり、ボランティアとはいえ、責任を感じながら取り組んでいます。今のところ、すべての要望には応えることが出来ませんが、一人でも多くの「傾聴を必要としている人たち」にお会いして、お話を聴かせてもらえたらな、と思っています。
介護福祉士として高齢者施設で働く、46歳男性です。
前職は土木の測量設計をしていましたが、5年前に介護の仕事に転職しました。