私は某・出版会社に勤務していました。仕事にやりがいを感じていましたので、多少の“仕事の業務上でのストレス”に関しましてはある程度、耐性がありました。
ただある日、どうしても仕事に行けない状態が続きました。原因は“人間関係”によるものでした。あれほど好きだった仕事に行けなくなったのです。
当時、私は入社3年目という中堅どころで、同時に“課長”という肩書を持ち、5名の部下を持つ管理職でした。あまり人に指示したりすることが苦手な性格だったため、私に管理職が務まるのだろうか……と不安に思うこともありました。
ある日、部下が私に承認を求めてきた原稿をアッサリとOKすると、「課長はちゃんと私たちを叱ってくれるんですか? 私はこの原稿、ボツだと思うんですけど」と、逆にそう言われたのです。それからというものの、様々な“上司としてのスキルアップ”を目指した書籍を読み漁り、ある程度、部下に対して叱咤・激励もスムーズにこなせるようになりました。
部下も9名に増え、その中に私より3歳年下の当時25歳の女性の部下Aさんがいました。あまり積極的な性格でなく業務にも消極的だったので、何とかモチベーションを上げようと、色々とアドバイスを送りつつサポートする日々が続きました。
ある日、部長に呼ばれ驚愕の事実を聞かされました。
「Aさん、君が毎日パワハラをしていると訴えてくるんだ。どういう指導をしているのか、詳しくきかせてもらえるか?」
まさに青天の霹靂でした。親身になってAさんの立場を尊び、キャリアアップしてほしいと思っていたことが“パワハラ”にあたるなんて、自分では思いもしなかったためです。
自分の行為がパワハラ扱いされてパニックに陥った私は、どうしていいか分からず、それからは出社することが苦痛になっていきました。どうしても我慢できなく駆け込んだ心療内科で、「パニック障害を伴った鬱病だね」と診断されてしまいました。「最近、管理職の人が鬱病になるケースが増加しているんだよね」と、医師は言われていました。それから休職を3か月した後、復職することが不可能で退職になってしまいました。
“パワハラ”や“モラハラ”などが強調される今、現代は生きづらい世の中になったと思います。人と人とが“希薄な関係”になりつつある社会構造が、実は鬱病を蔓延させる原因なのかもしれないと思います。しかし辛い状況が続くなかでも、今は自分のスタイルは捨てずに“ありのまま”でいいと考えています。無理せず、マイペースでいきたいところです。
大学卒業後、大手出版社に就職し管理職を経験したが、人間関係による”鬱病”を発症し、今も抗鬱剤を飲む毎日。フリーライターをメインに、海外輸出業などにも携わる。