手話は市販のテキストなどを使い、自宅の机に向かって勉強するという方法だけではありません。
自宅で独学する以外に、手話教室やサークルに通ったり、講座を受講する人も大勢います。
私自身の体験談も含め、いくつかのケースを紹介しましょう。
手話を習おうと思ったのは、耳が不自由な方も来店するお店に勤務しており、何度かご案内で不便な思いをおかけしてしまった失敗からです。
手話の存在自体はぼんやりと知っていても具体的に学んだことは一度もなく、申し込みをすることすら最初は少し不安でした。
とにかくまったく何もわからない素人としての自覚はあったので、教室の選び方にも細心の注意を払いました。
初心者でも受け入れてくれることや、わかりやすく教えてくれること、それからレッスンの開催日が仕事の日と重ならないことなどを条件に、手話の教室選びを始めることに……。
それぞれの条件は難しいものではないと思うのですが、色々比較してみると案外ぴったりの手話教室は少なく、ネットでも探しながらやっといくつかの手話教室を見つけて参加してみることになりました。
まずは体験ということで、最初に行った手話の教室は職場から近かったのですが、レッスンがすでに始まっており、周りの人たちはもう難しいことを習っていました。
元々ボランティアをしていたり、ご家族に障害がある人がいたりと、手話が必要な環境にいる方がほとんどでレベル自体が高かったと思います。
先生も周りの参加者さんも親切だったものの、自分とのレベルの差を実感してしまい、この教室で習うのは諦めることにしました。
次に行ったところは雰囲気がとてものんびりとしていて、先生の進行もゆっくりでした。
お茶を飲みながらのレッスンは雑談も多くて楽しいのですが、学ぶ時間自体は少なかったので、どうにも身につきそうにないと感じ、残念ながら諦めることに。
結局、最後に行った手話の教室で習うことに決めました。
決め手になったのは、楽しみながらもわかりやすく手話を教えてくれる点です。
パフォーマンスを交えながら、この動作にどんな意味があるのかまで解説してくれるため、なるほど!と納得することができました。
実際にやってみると、手の動作を言葉の意味と結びつけて動かすのはとても難しいことがわかりました。
しかし、英語などと同様に手話を言語のひとつとして覚え、それを役立てることができたなら、とても素敵なことだと思います。
最終的に、手話の教室選びをする際に一番のポイントになったのは、自分にとってのわかりやすさでした。
もちろん先生との相性や参加者の雰囲気なども考慮し、自分が納得して選ぶことが一番大切だと実感しています。
楽しく挑戦して手話を覚えながら、いつか自分の職場で耳の不自由なお客様に案内をする際に役立てることができたならとても嬉しいです。
大学生になってから親に学費を負担してもらっていたので、お小遣いくらいは自分で稼ごうとアルバイトを始めることにしました。
カフェで接客のアルバイトを始めましたが、接客の基本的なマナーも知らず、アルバイトを一緒にしている先輩や社員の人に沢山迷惑をかけてしまいました。
そのときにもっと目先の事だけでなく、広い目で物事を見なさいとアドバイスされたのです。
以来、平常心を保ちながらアドバイスされたことを心掛けるようにしたところ、今まで自分が親に甘えてきたことや、学生という身分に甘んじてきたことなどがわかるようになり、恥ずかしい気持ちになりました。
少しでも自分を成長させたいという思いから、熱心にアルバイトをして、学業も疎かにしないように頑張りました。
そして自分の視野を広げるため、ボランティアをしたいと考えるように……。
そんなとき、同じ大学に通っている友人が、障害を持つ子ども達の学童保育をサポートしているから手伝ってくれないかと誘われました。
私には弟や妹がいて、年下の子ども達と接するのは得意だという自信がありましたし、ちょうどボランティアをしようと思っていたこともあり、快く応じました。
しかし実際に障害を持つ子ども達と触れ合ってみると、想像していたよりも人見知りの子が多く、交流するのが難しいと感じたのです。
学童保育の場には、聴覚に障害のある子ども達もいました。
聴覚障害の子どもと接するとき、私は手話ができないので話をする際には筆談することになります。
大人同士なら筆談で交流することもできるかもしれませんが、子どもは筆談をすごく嫌がってしまいました。
きっと、いちいち話したいことを紙に書くのが、面倒に感じたのでしょう。
ボランティアに誘ってくれた友人はすごく手話が上手ですし、ボランティアをしている他の学生もほとんどが手話を使っていました。
寂しそうにしている子どもには手遊びを教えて注目を集めるなど、皆それぞれ特技を持っていることがわかりました。
そんな周りの様子を見て、私自身にも手話を習得したいという思いが芽生え始めたのです。
しばらくして、地元の手話サークルに入ることにしました。
初心者でも大歓迎というサークルだったので、手話の基本的なことから教えてもらうことができて良かったです。
手話のサークルで教えてもらったことを家に帰ってから復習したり、聴覚障害を持つ人向けのニュースを見て、自分も同じように真似ながら練習をするようになりました。
慣れるまでに時間がかかりましたが、手話のコツやリズムを覚えるようになると楽しくなってきますね。
今では難しい用語も表現できるようになりましたし、一度手話を習得すると、色んな人と話をしてみたいという前向きな気持ちが生まれました。
私の弟が働いている介護施設で手話の講座が開かれるとのことで、良かったら参加して欲しいと言われました。
それが、手話というものに触れることになったきっかけです。
手話は今まで全く関わったことがないジャンルだったため、そんな私が参加して大丈夫なのか不安でしたが、未経験の弟も参加すると言うので、私も一緒に参加を決めました。
当日は10人ほど入れるような教室に受講生が6人いて、講師は弟が働く介護施設の職員の方でした。
手話の資格も持っており、実際に業務でも活躍さていると聞き、非常に頼りになるなと感じました。
最初に講師が手話で簡単な自己紹介をしながら、ゆっくり1つ1つの動作がどういう意味なのか教えてくれました。
そして、受講者である私たちが自己紹介できるように、自分名前を手話でどう伝えるのか、配布された本を読みながら各自で確認しました。
その後、講師が受講生に1人ずつ手の動きを教えてくれ、自己紹介ができるようになるまで練習しました。
練習が終わったら、1人ずつ前に出ての自己紹介です。
相手にしっかりと伝えたいという意識を持って、恥ずかしがらずにやるように講師からアドバイスをもらい、ゆっくり丁寧に指と口を動かしていきます。
緊張しましたが、自己紹介ができるようになっただけで、人間としてレベルアップした気がして、楽しい気分になるものですね。
他にも、簡単な挨拶の手話を教えてもらいました。
「こんにちは」「さようなら」「お疲れ様です」など基本の挨拶だけでも覚えておけば、気軽に使えるのでみんなで一緒に練習をしました。
私が個人的に気に入ったのは「はじめまして」という手話。
人と人が出会うことを意味しており、とても素敵だなと思います。
挨拶は比較的簡単だったので、何回か繰り返したら覚えることができました。
初対面ではありましたが、受講生同士で挨拶し合うと温かい気持ちになるものです。
弟もたどたどしい手つきながらも、挨拶をしていました。
実際に手話を自分でやってみると、講師がいかに丁寧かつしっかりとした手の動きをしているのか分かります。
簡単そうに見えましたが、自分でやるとなると思ったより上手にはできません。
講座を受講した教室には大きな鏡も置いてあり、実際に自分の動作が相手にどう見えるか確認しながら練習を行いました。
恥ずかしがっていたら、手の動きが小さくなって何をしているか分かりにくくなってしまいます。
相手に伝えたい気持ちを大切に堂々と表現するようにしたらだいぶ様になってきたように思います。
手話の講座を受講する初めての経験でしたが、とても楽しく学べたので、今後も手話の勉強を続けていきたいです。
手話教室で絶賛勉強中!
学んだ手話が仕事に役立つように頑張っています!