先天性の障害を持つ私は、電動タイプと自走タイプの2つの車椅子を使い分けていますが、普段は自走式車椅子を使うことが多いです。
家周辺という本当に身近なところで、日頃感じるバリアについてお話しします。
私が住んでいるのは公営住宅です。エレベーターがあったり、廊下に手すりが付いていたりはしますが、すべての箇所がバリアフリー化されているわけではありません。
外出先から帰ったら、エレベーターで我が家がある階まで上がり、玄関ドアを開けます。すると、もうここで足止めされてしまいます。上肢にも障害があり片腕に力が入らず、玄関口のちょっとした段差を越えることができません。
さらに玄関ドアも、大きな問題になっています。ドアが開いたその場所で止まらずに、自然と閉まってしまうのです。さらに、ドアに付いている新聞受けが大きく内側にせり出しているため、腕が引っかかり痛い思いをするばかりか前にも進めず、結局助けを呼ぶ羽目に。この少しの段差がなく、新聞受けの幅がもう少しだけ薄かったら……といつも思います。もう10年以上も住んでいますが、家に自力ですんなりと入れないのは悔しいです。
住宅の敷地内にもいくつかの段差があり、私のようなチェアウォーカーに限らず、ベビーカーやシルバーカーを押す人も苦労しています。バリアに感じるものは、段差だけではありません。裏手から住宅内に入ることもあるのですが、困るのは正面の出入り口を利用するときです。車が入れないようにするため、住宅前のところには鉄製のバリケード(?)があります。バリケードは2つあり、どちらかをどけなければ、車椅子では通り抜けられません。そこはある意味鬼門とも言える場所で、どうしても誰かの手助けが必要になってしまいます。
住宅の敷地内にあるいくつかの段差は、小さなものであれば電動車椅子なら乗り越えることが可能です。ですが、バリケードのようなものは、いくら電動車椅子に乗っていても自力では動かせないので、周囲のサポートが必要になります。毎日多くのサポートを受けながら過ごしているものの、できるだけ何でも自力で……との思いが強いのも事実。完璧なバリアフリーの場所は、まず無いでしょう。「このバリアを解消してほしい」と訴えることも大事ですが、例えば目的地にたどり着くまで遠回りをしたとしても、周囲の協力を得ずに済むルートを探すなど、そんな自分なりの工夫も必要だなと思います。
口癖は「ま、いっか」。心のバリアフリーを大事にしたい30代女性です。