てんかんの治療中の人でも法律に沿って、一定の条件を満たしていれば車の運転が許可されます。自身が許可されない立場から、苦悩や知っていただきたいことをお話ししたいと思います。
「てんかんの人が運転する車は凶器だ」と言う人が多くいます。その言葉を聞くたび、てんかんがあってもきちんと試験を通り、法律で決められた基準をパスしている人だけが、運転免許を取ることができるのにと思います。もちろん、もし運転中に意識を失ってしまう発作が起きたときのことを考えれば、危険と頭ではわかっています。とはいえ、発作が起きずに何ともないときもあるだけに、自分の『大事な足』ともなる車の運転が許可されないことには、とても悔しい思いがあります。
てんかんは精神障害の対象疾患で、わたしは精神障害の手帳を取得しています。納得できないのは、精神障害者はほとんどが対象外のため、公共交通機関の割引が受けられないことです。国土交通省からは「精神障害も対象とするように」と通知が発表されましたが、義務ではないので目立った変化はありません。
以前住んでいた横浜市では、福祉乗車券を発行され、とても助かっていました。転居先の愛知では、名古屋市から離れると公共交通機関は本数が少なかったり、路線も少ないので不便です。また、名古屋市営地下鉄・バスの場合、市民以外は身障者・知的障害だけが割引対象です。
身障者でも視力矯正や車の改良で可能なら、運転免許を取ることができます。知的障害でも実技・筆記試験を合格できれば運転できます。症状の程度によって許可されるケースもありますが、わたしのように意識を失うてんかんは1回の発作で『車を運転する権利』を法律で奪われてしまいます。それなのに、なぜ代わりの手段(割引等)がなぜ認められないのでしょうか。
てんかんの発症率は10代までがほとんどと言われていますが、わたしのように大人になってから、ある日突然発症する人もいます。身近な病気であるとともに、てんかんがあると、様々な制約を受けることを多くの方に知ってほしいです。
愛知県在住の女性です。うつ病を学生の時に発症し、療養生活を続けています。今は働けるようになりたいので、少しずつステップアップしています。