44年間のサラリーマン生活に別れを告げ、どこにも通わなくて良い(通う場所のない)生活に入りました。
走り続けてきた人生ですが、ようやく立ち止まりふと越し方行く末を思った時、これまでは考えもしなかった健康の重要さに気がついたのです。
およそ半年前に会社人生を無事卒業し、リタイア生活に入りました。
最初の二週間は、会社へ行かなくて済む毎日がうれしく、このストレスのない第二の人生がバラ色に輝いて見えました。
しかし人間は贅沢なもので、慣れてくると次第に輝きが失われ、これから何をして行こうかと考える毎日になりました。
読書が好きなので図書館に通うとか、ボケ防止のためにアルバイトを探す等、何か規則的な行動を生活に取入れようと、色々考えを巡らせました。
そんな中で、一つ大事なことに気が付いたのです。
それは、今の健康状態がいつまでも続く保証はないと言う事です。
幸い会社にいる間は大病もせず無事に来られましたが、血圧は上が150を越え、毎年の健康診断でも生活習慣病の改善を特記されるのが常でした。
そこで、まずやるべき事は、何はさておいても“健康づくり”であるとの結論に達したのです。
具体的にどのように健康づくりをするか?
色々調べた結果、やはり血圧を下げる事が重要で、その為に一番良い方法は体重を減らす事だと言う事が分かりました。
急激な変化を避ける為、取敢えずは半年で3kg減量との目標を立てましたが、次はどうやって落とすかと言う問題です。
三日坊主に終わらないよう、高いお金を払ってフィットネスクラブに通うような事も考えました。
しかし、年金しかない我が家にそんな予算が有るわけがないと、大蔵大臣に一蹴され、結局お金もかからず技術習得の必要もないウォーキングを始める事にしました。
只歩くだけなので、すぐに飽きてしまうのを心配しましたが、これが始めてみると意外に面白いのです。
住宅街の庭先に咲く花を眺めたり、予想外に多い同好の士と挨拶を交わしたり、コースを幾つも開発する事でモチベーションを維持できる事が分かりました。
はじめは目立った体重の変化が無く、この方法で良いのかとの疑問も頭をよぎったものの、2ヵ月目に入った頃から着実に体重が落ちて行くのを目の当たりにすると、これはもう止められなくなるのです。
半年経った現在、目標を上回る4kgの減量に成功しました。
減量を実感し始めると、ウォーキングの効果について深く知りたくなり、ネット情報や書物で調べるようになりました。
そうすると、有酸素運動の一つでもある歩く事の効果は実に多く、単なる減量以外にうつ病の予防などメンタル面での効果もある事を知りました。
そんな時、NHKのある番組で認知症の予防や進行抑制に最も効果があるのは、“頭を使いながらの運動”である事が紹介されていたのです。
認知症は癌等と並び、我々高齢者にとっては大いなる心配の種ですから……。
その“頭を使いながらの運動”を実践しようと、今、私が取り組んでいるのは英会話スキルを上げるために英語の構文を音読しながら歩く事です。
大蔵大臣との相談が必要なのですが、予算の許す範囲で海外旅行にも挑戦したいと思っているからです。
社会に出るまで22年、会社努めを44年、この先22年を無事に過ごそうともくろむ前期高齢者です。