介護において、介護福祉士もヘルパーも仕事内容や心がけに基本的に違いはないと思います。確かに吸引など介護福祉士でなければできないこともありますが、どちらも『介護をする』ということに変わりはありません。
介護福祉士は、援助を必要とする方に対し、その方の人生の価値を高める職業だと私は思います。例えば、認知症でグループホームに入居されてきた方は症状の度合い、既往症などすべて人それぞれで、当然生きてきた人生が違うのですから、同じ認知症患者であっても性格もちがいます。
ですから、マニュアルなど存在しません。どう対応するか、1からというよりもマイナスから、その人にあったマニュアルを自分のなかで毎日業務なかで作り上げていく必要があります。そのマニュアルも完全にマニュアル化できるものではなく、日々の天候であったり、ちょっとした介護者の気分により、マニュアルから外れた行動をとるときもあります。それを見極めるのは、介護福祉士やヘルパーといった介護者の力量なのです。
介護福祉士の資格を持っているにも関わらず、要介護者の行動を全否定してしまう介護福祉士がいます。まず、受容と寛容が介護には重要です。すべてを受け入れてあげることが大事な要介護者に対し、その人の価値を下げる介護福祉士がよくいます。それが入居者虐待の一因となる場合があり、とても介護のプロ、国家資格を取得した人間と考えられない行動です。そのような介護福祉士は、職業云々より人間性の問題でしょう。
介護福祉士の仕事は、確かに精神的にも肉体的にも辛い仕事です。これほど重要で高い人間性や技術を必要とする仕事でありながら、社会的地位も低いです。収入も、仕事に見合うほどのものでもありません。
介護福祉士は需要のある職業ですが、本当に価値ある人間でなければ勤まらない仕事ではないでしょうか。
介護福祉士は、ただ国家資格をとっただけでは、勤まりません。資格はスタート地点に立てただけのことで、あってその先には更なる向上心と己の優れた高い人間性が必要になります。そうでなければ、何年勤めても手に技術を得たとしても、精神論の部分で成長しなければよい介護者になれないのです。
介護福祉士という職業に就きたい本人だけでなく、社会全体でもよい介護福祉士を育成するため、こういったことを理解していただきたいと思います。
ヘルパー2級を取得後、グループホームに勤務。
グループホームで勤務しながら、通信制で勉強し2年で介護福祉士の資格を取得。
介護福祉士として看護助手、特別老人ホームに勤務。